イラストレーター秋山亜軌の日記を中心としたブログです。イラストレーターとしての活動報告をはじめ、美術や映画、音楽の話、興味のある出来事など、幅広い話題を独自の意見を絡めて執筆しています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

ドレスデン国立美術館展-世界の鏡

本日、国立西洋美術館で開催中の「ドレスデン国立美術館展-世界の鏡」に行って参りました。僕すごくでぶしょうなので、また会期終了間近なんですけど、去年フェルメールを見逃しているので、今年こそ絶対見るぞ、と意気込んで行ってきました。リベンジです。
今回もう、フェルメールしか見る気はなくて、他はとりあえず飛ばし見して、まずフェルメールから見ました。上野の美術館て広くて階段多いじゃないですか、フェルメールに辿り着くまでに疲れるとかは絶対嫌だった。

フェルメール「窓辺で手紙を読む若い女」

フェルメール作「窓辺で手紙を読む若い女」。フェルメールは自分が好き、というよりは、本物を見た人の感想がとにかくいいから絶対見た方がいいよ、というもので一致しているので、いつか見なきゃ、という感じだったんですが、今まで縁が無く、実は今回がファーストコンタクト。
それでまず思ったのは、そんなに大きな絵じゃないんですけど、確かにすごく存在感のある絵です。美術書では何度も見ているけれど、これは本物を見ないとよさが読み取れないかもしれない。
印刷の中で見るフェルメールは、すごく繊細で細密でアカデミックな印象だったのですが、実物を見るとその印象はぶっとびます。思った以上に迫力があって、トリッキーで、見れば見るほど不思議な気持ちになる絵です。とにかく第一印象は変な絵。もちろんいい意味です。こんな気持ちにさせられたのは初めてのことです。
もちろん細密なところは細密なんですが、そうかと思えばやけに大胆に色を乗せて描いていたりもする。だから、繊細なのが好きな人も迫力があるのが好きな人も取り込んでしまうのかな、なんて思ったんですけど。
構図の面でも覗き見る形をとっていて、デザイン科にいた頃、やたらとキャッチ・アイ(商品などでいかにして人の目を引き付けるかという工夫。)の重要性を教わった気がするけど、この人はあえて遠ざけることによって見たいと思わせる。それが引き付けられる原因かもしれないです。
右手前の緑色のカーテンにトロンプ・ルイユ(だまし絵)の手法が使われていて、(まるで鉄製のカーテンかと思うくらい硬質に描かれています。)テーブルクロスと共に、少女と鑑賞者の間を遠ざける障壁として一役かっています。
フェルメールのこの絵を見ると、色んなものと繋げて考えてしまいます。
例えば、この人間心理を逆手に取った覗き見る感覚はヒッチコックの「裏窓」という映画のカメラワークによく似ているし(素晴らしい映画です。見てない方はぜひ。)、光を自在に操るという意味ではレンブラントに通じるものがある。現実を画面の中で再構成するところはセザンヌに似ていると思います。特にたっぷりとしたテーブルクロスは重心をコントロールする役目までセザンヌのそれと似通っている。グイドレーニをフェルメールが知っていたかもしれない、という説が「美の巨人たち」でやっていたけど、ひょっとしたら今挙げた巨匠たちがフェルメールを知っていたら、なんてことに思いを馳せてしまいました。素晴らしい芸術はどこかで繋がっているものだと思うのです。
だいぶ前の話なのでご存知の方もおられるでしょうが、「美の巨人たち」で最も美しいと思う女性の絵の投票をしたところ、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」がモナリザを破って堂々の一位に輝きました。きっとこの二枚が一位二位ということは人の心に残る美しさってうわっつらじゃないんだな、ということだと思います。モナリザには天使と悪魔が同居しているし、真珠の耳飾りの少女はこちらと視線がクロスして、何か緊張感のようなものを突きつけてくる。一つはっきりしていることは美しいものを見るのは、こちらにも覚悟と体力が必要だということですかね。決してラクではありません。何か試されている気になる。
脱線しましたが、久しぶりに息継ぎするのを忘れて見入ってしまいました。テーブルクロスの描写は眼鏡をかけても追えないくらい繊細で見事なものだったし、窓にかかっている赤いカーテンは何か生き物みたいだったし。一つ気になったのですが、テーブルクロスと緑のカーテンの裾に何かキラキラ光る繊維(砂糖の粒のようなもの。)のようなものがあったのですが、あれがなんだかわかる人がいたら教えてほしいです。あれなんだったんだろう。他の部分には無かったように思います。一枚の絵でこれだけレヴューが書けるのもすごいけど(笑)。はあ。

他にもいいものはたくさんあったんですよ。結局フェルメールのあと、もう一回、全部見ましたから。ティッツアーノにレンブラントの大作に、デューラーの「ネメシス」という超細密エングレーヴィング。ポップなマイセンと渋い伊万里の対比もよかった。マイセンの「アジア」という磁器人形も面白かった。バルタザール・デンナーという画家の老女の絵もやけに生々しくて怖かったし(笑)いや誉め言葉ですよ。味のある地球儀や、やたらと使いにくそうな、剣やフォークも美しかったし、フリードリッヒはいつも通りドラマがかってたし、色々よかったんですよ。でもでも、今回は明らかに主役はフェルメールで、対抗馬のレンブラントさえ霞んで見えました。
帰りに今回のチケットで常設展タダで見られるというので、寄って帰りました。子供の頃、見に行った記憶があるけど、完全に忘れてました。こんなにすごい数のコレクションありましたっけ。びっくりです。印象派はほとんどそろってるし、相当古いマニエリスムの画家から、ドラクロワ、グレコ、リューベンス、藤田、スーチン、エルンスト、クールベ、ルオー、ナビ派、ラファエロ前派まで何でもあり状態。今度常設展だけ見に行こうかな。志半ばで閉館時間になり、駆け足で見る羽目になりました。もうおなかいっぱいだあ。
スポンサーサイト
  1. 2005/09/13(火) 21:33:18|
  2. 美術展|
  3. トラックバック:3|
  4. コメント:2
<<初秋 | ホーム | 新生dada savanna>>

コメント

TBありがとうございました。

如何でしたか?
初vermeer?
あれでも残っている作品の中では大きな方です。
一番小さい作品なんて本一ページ分しかありません。。。

僭越ながらTB二つ送らせていただきました。
  1. 2005/09/14(水) 07:50:58 |
  2. URL |
  3. Tak #JalddpaA
  4. [ 編集]

よかったです!

初めてっていうのは何でもいいものですね。
やっぱり本物を見るまでその画家のよしあしはわからないものだと改めて思いました。
あれで、大きいというのを聞くと余計に去年、絵画芸術が見られなかったのが残念です。
TB2つも送っていただきありがとうございました。
  1. 2005/09/14(水) 16:19:58 |
  2. URL |
  3. 秋山亜軌(管理人) #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://surshelter.blog5.fc2.com/tb.php/59-9175dd43

ドレスデン国立美術館展

神戸での展示を無事終え、今日から場所を上野に移し開催の「ドレスデン国立美術館展ー世界の鏡ー」に行って来ました。展覧会の構成は以下の通り。工芸品から絵画作品まで幅広く展示されていました。1、ドレスデンの美術収集室(クンストカンマー)2、オスマントルコ帝国ー
  1. 2005/09/14(水) 07:45:09 |
  2. 弐代目・青い日記帳

「窓辺で手紙を読む女」の感想

第一印象は大切なもので、いかにそれを良くするか若い男女のみならず、子供からお年寄りまでそれなりに工夫し苦労しお金をかけているはずです。今回の「ドレスデン国立美術館展」に出展されているヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」。この作品とは2年前に始め
  1. 2005/09/14(水) 07:46:38 |
  2. 弐代目・青い日記帳

ドレスデン国立美術館展[世界の鏡]@国立西洋美術館

先週の金曜、上野の西美へ行ってきました。歴代のザクセン選帝候たちが集めに集めた美術品・工芸品のコレクションを引き継ぎ、展示・修復・研究を行っているドレスデン国立美術館の引っ越し展。やっぱり「日本におけるドイツ 2005/2006」の関連行事です(今年になってからい
  1. 2005/09/14(水) 10:57:51 |
  2. 庭は夏の日ざかり
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。