イラストレーター秋山亜軌の日記を中心としたブログです。イラストレーターとしての活動報告をはじめ、美術や映画、音楽の話、興味のある出来事など、幅広い話題を独自の意見を絡めて執筆しています。

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ベルリン至宝展

ラファエロ「聖母子」

もう二ヶ月くらい前の話をしましょう。6月にベルリン至宝展に行って参りました。
今年はこのブログで何度も云っているようにドイツ年で、ベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一されて15周年の記念の年です。そのために普段は入ってこないドイツの美術品がたくさん日本にやってくるのです。
日本でラファエロとボッチチェルリが見られるって!と相当テンション高めでした。レンブラント霞んだもんね。レンブラントはけっこう作品も多いし、日本でも見られるから。
ここはマリアVSヴィーナスという構図が真っ先に浮かんだ。

ボッチチェルリ「ヴィーナス」

僕の中ではヴィーナスの勝利でしたね。っていうかラファエロが・・・イマイチだったんですけど。すごくラファエロに期待して行ったんでそれもあるんですが、あまり力を感じなかった。あんなに薄いの?と思った。あまりにも深みが無かったし、印刷物と大差がないっていうのが本音で、これがあのラファエロなの?って思った。ボッチチェルリは金で描かれた髪や、肉体のフォルムに惹きつけられて、それなりによかった。でもなんか物足りなかったな。ルネッサンス期の絵がああなのか、ひょっとして。
基本的に薄くて、迫力に欠けるし深みが無い。印象派やロマン主義、シュールレアリスムの絵なんかを見慣れてる僕としては正直物足りなかった。
レンブラントも習作?ってくらい完成してなかった。贋作かと思った。構図も入りきってなくて中途半端だったし。レンブラントはかなり見てきてるけどやっぱり抜けてるし、迫力のある絵を描くんですよ。贋作が最も多い画家の一人でもあるから注意が必要ですね。
そんな中、検討してたのがシンケルとフリードリッヒで、フリードリッヒ好きなんですよ。「海辺の月の出」という絵で、これもかなり見たかった絵の一つなんですが、すごくよかった。しみじみきた。ブーシェやプッサンもよかったけどね。
絵は不完全燃焼だったんだけど、この美術展、一番のみどころはエジプト文明だったかな、と思います。
すっごいパワフルだった。エジプトの神様はおもしろい。神様って各国様々だと思うんですけど、エジプトの場合は動物が神様で、そのまま動物の体をしてるパターンと、体は人間、顔は動物、あるいはその逆というパターンの2つがあって、そのかけ合わせのパターンがよく、これだけ思いつくな、というくらいたくさんあります。
女神転生とか想像してもらうとわかりやすいと思う。
イスラムは神様を形にしちゃいけないって考え方だから幾何学模様で神を表現して、エジプトはありえない姿を作り上げる事で神を表現した、そういう違いもおもしろかったです。どのみち、表現の仕方は違えど、人間と同じではいけないわけです。神は特別な存在でなくてはならないから。
インディアンだと自然の精霊、日本も元々は自然を神様としてたけど、今は仏教が主流ですね。キリスト教は人間を神様にしているのでもっと身近な存在としての表現ですが、肉体はありえない等身をしているのでそこが人間との差別化になっているラインなわけです。
エジプトの展示物はとにかく迫力がすごい。牡羊という作品がいやがおうにも、目を引きます。圧巻です。雰囲気もあって、これがエジプトからベルリンに渡って、日本にきた、その歴史の旅の過程を思うと、遠い記憶を辿るようで、古代の神々の力に包まれている、そんな気持ちになりました。
青銅、花崗岩、石灰岩、泥岩など様々な材質で表現された神々はとっても自由でおおらかでおこがましくいえばかわいらしくて、けれど威厳もしっかりとあって何か語りかけてきそうだった。もちろん言葉は通じないだろうけど。
ここにずっといたら僕も神を信じるようになると思う。ヒエログリフ(神聖文字)っていうのも、なんか神秘的だった。ステラ(供養碑)や浮き彫りに刻み付けられた文字は、書道とはまた一風違った力強さがある。ステラも浮き彫りも、保存状態がいいとは云えなくて、あちこち欠けたりヒビが入っていて、それも歴史の重みを感じさせるのに一役かっていました。
名作というのは時代や歴史の中で真の名作になるのかもしれない。オーラの泉の江原さんや美輪さんが見たら、美術品はどうやって見えるんだろう。その作品を見た人の数だけ、思い入れの強さだけ、念が作品に入るとしたら、名作は更に輝きや訴える力を増すことだろう。だとしたら、僕が名作を見て感動するのは、そういう作品にとりついた念の力もあるのかもしれない。なんて神がかったことを言いましたが、偶像は、他の絵画やなんかに比べて、お祈りしたり願い事をしたり、崇拝する要素が強いので、それだけ、そこに集まる念の力も強いのではないかと思うんです。たまにこの絵の人物は生きてるんじゃないか、と思うくらい生々しい絵に出会ったとき、単に画家の技量だけでここまでのことができるのか、と思う事がちょくちょくあるんです。念が入るのはもちろん芸術家の技量があるからだけど、一人の力じゃ名作は生まれない。そんなこと思いました。僕はオーラを感じた事はないけど、そういう時に実は感じてたのかもしれない。
古代西アジア美術、ギリシャ・ローマ美術もよかった。大理石で作られた礼拝像や浮き彫りはソフトで優しく洗練された印象。ペルガモンの美しい頭部、という作品がよかった。得物でどの神様かわかるのだけど、腕って構造上もげやすいので取れちゃってるものが多い。何の神様か想像するのも楽しい。
イスラム美術の幾何学はほんとに繊細。僕にはできないな、絶対。
コインコレクションは覗き込むように観賞。すごく小さいんだけどデザインが凝ってて味があった。ああいう小品がたまに入ると退屈せずに見られるな。
ビザンチン美術にはピカソの求めたような幼児性が感じられた。自由奔放な楽しさがある。
中世ヨーロッパ彫刻にはポプラや樫の彫刻があり、石で作ったものよりも温かみを感じて、親近感を持った。素材が変わるとだいぶイメージも変わるなと思いました。でも最初は彩色が施してあったらしい。今はすっかり落ちてしまっているので、色のついた状態のも見たいなあ。
この美術展、総括すると、神の存在を信じたくなる美術展といった感じ。何か一つ目玉があるわけじゃないけど、全体としてみるなら、非常に豪華でボリュームがあり満足しました。
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  1. 2005/08/07(日) 17:40:00|
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